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Ⅰ はじめに

2022年6月24日、合衆国最高裁判所は、Roe v. Wade, 410 U.S. 113(1973)判決およびPlanned Parenthood of Southeastern Pa. v. Casey, 505 U.S. 833(1992)判決を覆し、合衆国憲法は中絶に対する権利を保障していないと判断した。この結果、中絶に対する規制は、合衆国憲法の制約をほとんど受けることなく各州に委ねられることになった。本稿は、この判決(Dobbs v. Jackson Women’s Health Organization, 142 S. Ct. 2228(2022))の内容を振り返り、その論理が持つ問題点を明らかにすることを目的とする。¶001