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事実

本件原告(以下「X」)は、中小企業たる日本法人であり、本件被告(以下「Y」)は、世界的規模のカリフォルニア州(以下「CA州」)法人である。Xは、平成18年からYにパソコン部品(以下「本件ピン」)を継続的に供給し、平成21年にYとの間で、Yの製品に使用するための部品の開発・供給等についてのMaster Development and Supply Agreement(開発供給基本合意)を締結した(以下「本件MDSA」)。本件MDSAには、CA州裁判所を指定した専属的管轄条項及びCA州法を指定した準拠法選択条項が含まれていた。平成24年1月から同年7月まで、XYは本件ピンの価格について交渉を行う一方で、Xは、Yによる「発注数量等一覧表」記載の数量及び金額で受注し、製造・納入した。更にXは、Yの発注予測及び要請に応じて、機械購入など生産能力を強化した。平成24年8月以降発注数量は、Yにより大幅に引き下げられ、発注が停止された(以下「本件取引停止」)。Xは、Yに発注を再開してもらうために、Yの要求に従い、数回にわたる本件ピン価格の値下げ及びリベート支払に応じた(以下「本件減額要求」及び「本件リベート要求」)。平成26年8月に、Xは、①本件取引停止は、継続的契約関係に基づく善管注意義務違反及び不当な取引拒絶行為に該当し、また②本件減額要求は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」)2条9項5号ハの定める優越的地位濫用行為に、③本件リベート要求は、同号ロ又はハの定める優越的地位濫用行為に、それぞれ該当すると主張し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を求め、東京地方裁判所に提訴した。本件第一審での争点は多岐にわたるが、その中心部分は、①本件準拠法条項の効力、②不法行為準拠法、特に法の適用に関する通則法(以下「通則法」)20条の適否、③Xの被侵害利益の存在及び内容の準拠法、④日本独禁法の適用可能性にある。¶001