Ⅰ 本判決について

1 事案の概要

本件は、交通事故により受傷したX(原告・控訴人・上告人)が、加害車両の運転者であるY(被告・被控訴人・被上告人)に対し、民法709条または自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という)3条に基づき損害賠償を求めた事案であるが、Xの夫との間で人身傷害条項のある普通保険約款が適用される自動車保険契約(以下「人傷保険」という)を締結していた訴外保険会社(以下「人傷社」という)が、人傷保険金をXに支払後、Xの損害についてY加入の自動車損害賠償責任保険の保険者(以下「自賠社」という)から自賠法16条1項に基づく損害賠償額(以下「自賠金」という)を受領していることから、XのYに対する損害賠償請求権の額から、この自賠金を全額控除することができるか否か、いわゆる「人傷一括払」の処理が争点となった。