Ⅰ. はじめに

Ⅲ1

民法405条は、利息の支払いが1年分以上延滞した場合において、債権者が催告をしても、債務者がその利息を支払わないときは、債権者は、一方的意思表示をすることによって、延滞利息を元本に組み入れることができる旨を定めており、この規定が、遅延損害金(遅延利息)についても適用ないし類推適用されるかは争われている。金銭消費貸借における返済遅延の場合の遅延損害金については、すでに大審院判決(後記)において、民法405条による組入重利が肯定されている。不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金については、とくに交通事故訴訟に関して争いがあったが、本判決(最判令和4・1・18判タ1496号84頁)は、最高裁として初めて、これにつき民法405条による組入重利を否定する旨を明らかにした(なお、本判決の事案自体は交通事故に関するものではない)。その意味で、本判決は、とくに交通事故訴訟において実務上重要な意義を有する。本稿では、本判決に関する論評と併せて、中間利息控除などの関連問題にも言及したい。