Ⅰ. はじめに

令和3年6月23日、最高裁大法廷は、夫婦同氏を規定する民法750条とそれを受けて夫婦が称する氏を婚姻届の必要的記載事項とする戸籍法74条1号の規定が憲法に違反しない旨の判断を示した(最大決令和3・6・23判タ1488号94頁。以下、「本決定」)。本件の事案は、抗告人らが「夫は夫の氏、妻は妻の氏を称する」旨を記載して婚姻の届出をしたところ、戸籍管掌者である市長からこれを不受理とする処分がされたため、その処分が不当であるとして、市長に届出の受理を命ずることを申し立て、その理由として、民法750条、戸籍法74条1号が憲法14条1項、24条、98条2項に違反して無効であることを主張したものである。