事実の概要
経営状態の悪化した医療法人社団Aは、借入金返済のため資金調達スキームを策定し、平成28年1月、合同会社Y(相手方・抗告人)との間で、概ね次のような内容のAの診療報酬債権に係る債権譲渡契約(以下「本件債権譲渡契約」という)を締結した。①平成27年12月から令和5年2月までの診療報酬債権を「譲渡対象債権」、同年3月から令和6年2月までの診療報酬債権を「担保債権」と称し、Aはこれらを全てYに譲渡する(Aは、契約締結日付で、第三債務者に対し内容証明郵便による債権譲渡通知をしている)。②Aは、譲渡対象債権をYに真正に譲渡することを意図している旨を表明保証する。③Yは、各月の譲渡対象債権の譲渡代金を、最初の3か月分は一括で、その後は一定の条件の下で毎月Aに支払う。④譲渡代金は、診療報酬債権ごとに設定される「債権基準額」(当初は3億5000万円)に「掛目」(当初は98.05%。契約締結後2年目以降は漸減する)を乗じた額(以下「買取債権金額」という)から、所定の「割引料」(当初は概ね1.25%)等を控除した金額とする。なお、各月にYが回収した譲渡対象債権の金額と買取債権金額の差額は精算する。⑤担保債権の譲渡は、AがYに対して負担する一切の債務を担保することを目的とする。⑥AおよびYはいずれも、3か月以上前に相手方に通知することで、本件債権譲渡契約を将来に向けて解約できる。ただし、Aは、契約締結後2年間は解約通知をできない。⑦本件債権譲渡契約が解約等された場合、Aは、解約等の効力が及ぶ譲渡対象債権に係る譲渡代金(以下「買取債権残高」という)を直ちにYに返還しなければならない。また、解約等の効力が及ぶ譲渡対象債権は当然に担保債権に組み入れられる。¶001