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事実の概要

X(原告・被控訴人・被上告人)は、A(株式会社東辰)から建物を賃借しており、毎月末日に翌月分の賃料をAの当座預金口座に振り込んで支払っていた。他方、Xは、B(株式会社透信)から通信用紙等を購入し、その代金をBのC銀行の普通預金口座に振り込む方法で支払っていたことがあったが、昭和62年1月の支払を最後にBとの取引はなく、Bに対する債務もなかった。¶001

平成元年4月28日、Xは、Aに翌5月分の賃料等を支払うため、C銀行に558万3030円の振込依頼をしたが、誤って振込先をC銀行のBの普通預金口座と指定したため、Bの口座に同額の入金記帳がされた。Xは、銀行振込みをコンピューター処理していたが、AとBは同じ読みの会社であり、いずれも片仮名で「カ)トウシン」と表示されていたために、このような誤りが生じたのであった。また、BとC銀行との間の普通預金取引契約の内容となる普通預金規定には、振込みに関しては、これを預金口座に受け入れるという趣旨の定めだけが置かれていた。¶002