事実の概要
米国法人のA社は、昭和33年2月、X2社(原告・控訴人・上告人)との間で、A社の元代表者が考案した地球儀型トランジスターラジオ受信機の意匠に係るラジオ受信機(「本件ラジオ受信機」)について、X2社がA社の注文に基づいて本件ラジオ受信機を製造することを内容とする製造販売契約(「本件契約」)を締結した。本件契約には、本件ラジオ受信機の意匠についての一切の権利はA社に帰属することを確認すること、X2社は本件ラジオ受信機の意匠または地球儀型のいかなるラジオをもA社以外の者のために製造しないことを約束する旨の条項があった。X2社は、本件契約に基づいて、本件ラジオ受信機を製造し、A社に対し、引き渡すようになった。その間の昭和33年4月18日、X2社の代表者のX1(原告・控訴人・上告人)は、指定物品を「ラジオ受信機」とする意匠について意匠登録出願をし、昭和34年2月10日、当該意匠(「本件登録意匠」)の意匠登録を受けた。A社とX2社は、同年4月ころ、本件契約に係る取引を中止した。A社は、同年5月末ころから、Y1(被告・被控訴人・被上告人)に対し、本件ラジオ受信機の製造を注文し、Y1は、Y2社(被告・被控訴人・被上告人)に対し、上記注文に係る本件ラジオ受信機の製造を注文し、Y2社は、この注文に基づいて製造した本件ラジオ受信機をY1に引き渡し、Y1が、A社に対し、Y2社から引渡しを受けた本件ラジオ受信機を輸出、販売するようになった。A社、Y1およびY2社の三者間には、Y1およびY2社は、A社の提供する見本のとおりの本件ラジオ受信機のみを製造するものとし、A社以外の者のためにこれを製造することはできず、また、A社からの注文があった場合に限り、これを製造、販売することができる旨の合意が成立していた。その後、X1とX1から本件登録意匠の意匠権(「本件意匠権」)の持分2分の1を譲り受けたX2社は、Y1らによる本件ラジオ受信機の製造、販売が本件意匠権の侵害に当たる旨主張して、Y1らに対し、本件ラジオ受信機の製造、販売の差止めおよび廃棄と損害賠償を求める本件訴訟を提起した。Y1らは、Y1らによる本件ラジオ受信機の製造、販売は、A社が有する本件登録意匠についての先使用権の行使の範囲内に属するとして、A社の先使用権を援用する旨の先使用権の抗弁を主張した。第1審(東京地判昭和36・12・23)は、Y1らの先使用権の抗弁を認めて、X1らの請求をいずれも棄却し、原審(東京高判昭和41・9・29)も、これを認めて、X1らの控訴を棄却したため、X1らが、上告した。¶001