事実の概要
本件は、マキサカルシトールを含む化合物の製造方法に係る特許権の共有者X(原告・被控訴人・被上告人)が、Yら(被告・控訴人・上告人)の輸入販売等に係る医薬品の製造方法は、本件特許に係るクレームに記載された構成と均等なものであると主張して、Yらに対し当該医薬品の輸入販売等の差止め等を求めた本書40事件の上告審である。上告審では、第5要件についてのみ判断がされている。¶001
判旨
上告棄却。¶002
「(1) ……出願人が、特許出願時に、特許請求の範囲に記載された構成中の対象製品等と異なる部分につき、対象製品等に係る構成を容易に想到することができたにもかかわらず、これを特許請求の範囲に記載しなかったというだけでは、特許出願に係る明細書の開示を受ける第三者に対し、対象製品等が特許請求の範囲から除外されたものであることの信頼を生じさせるものとはいえず、当該出願人において、対象製品等が特許発明の技術的範囲に属しないことを承認したと解されるような行動をとったものとはいい難い。また、上記のように容易に想到することができた構成を特許請求の範囲に記載しなかったというだけで、特許権侵害訴訟において、対象製品等と特許請求の範囲に記載された構成との均等を理由に対象製品等が特許発明の技術的範囲に属する旨の主張をすることが一律に許されなくなるとすると、先願主義の下で早期の特許出願を迫られる出願人において、将来予想されるあらゆる侵害態様を包含するような特許請求の範囲の記載を特許出願時に強いられることと等しくなる一方、明細書の開示を受ける第三者においては、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものを上記のような時間的制約を受けずに検討することができるため、特許権者による差止め等の権利行使を容易に免れることができることとなり、相当とはいえない。¶003