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事実の概要

長崎市内の公立小学校において、通知表の様式および評定記載方法をめぐる論争が展開され、学校の方式に反対する教師による通知表不交付などの混乱が生じていた。市内の公立小学校に勤務し長崎県教職員組合所属の教師であるXら(原告・被控訴人・被上告人)は、同市校長会が提案する通知表の様式に反対し、勤務校において、通知表を校長の指示通りに記入せず、その決裁を得られないため児童に交付しなかった。¶001

こうした事態は教育関係者や市民の間で大きな関心事になっていたところ、かねてより教育問題等に関し言論活動をしていたY(被告・控訴人・上告人)は、実体のない「長崎県教育正常化父母の会」名義でビラ約5000枚を作成したうえ、Xらの勤務校の児童へ手渡し、校区内の家庭郵便受に投函し、さらに市内繁華街で通行人に配布した。本件ビラには、通知表をめぐる混乱の経過やXらの勤務校での通知表不交付などについてYの立場からの記述があるほか、「教師としての能力自体を疑われるような『愚かな抵抗』」、「お粗末教育」等の表現が用いられ、さらに末尾には「通知表問題でわかった有害無能な教職員の一覧表」としてXらの勤務先学校・担任学級・氏名・年齢・住所・電話番号が個別に記載されていた。¶002