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事実の概要

優生保護法(昭和23年法律156号。以下単に「法」)は、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに、母性の生命健康を保護することを目的とし(1条)、第2章で一定の疾病・障害等を有する者らを対象にした不妊手術(法は「優生手術」と呼ぶ)について定めていた(これらの点は平成8年法律105号により改正削除され、法律の題名も「母体保護法」とされた)。¶001

1960年ないし1968年頃、聴覚障害または脳性小児麻痺を有するX1・X4・X5(いずれも第1審原告)は、法の規定に基づいて不妊手術を受けた。2018年ないし2019年、同人らとその配偶者で聴覚障害を有するX2(X1の妻)・X3(X4の夫)(いずれも第1審原告)は、法は違憲無効であり、法の改廃等に係る立法不作為や厚生大臣による優生手術の推進等は違法であると主張して、Y(国―被告・被控訴人・上告人)に対し国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めて提訴した。第1審係属中にX1は死亡し、X2がその地位を承継。¶002