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事実の概要

Xらは昭和44年の国際反戦デー闘争等に関連して凶器準備集合罪などで起訴され、東京拘置所に勾留されていたが、私費で購読していた読売新聞につき、昭和45年3月31日付夕刊から4月2日付朝刊まで赤軍派学生が日航機「よど号」を乗っ取った事件についての記事をすべて黒く塗りつぶしたものを配布された。当時の監獄法31条2項は「文書、図画ノ閲読ニ関スル制限ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」と定めており、これを受けて監獄法施行規則(当時)86条1項は「拘禁ノ目的ニ反セズ且ツ監獄ノ紀律ニ害ナキモノニ限リ之ヲ許ス」と定めていたが、東京拘置所長は被収容者がこのニュースに刺激を受けて喧騒・騒擾行為に出るおそれがあるとの理由で、一連の記事を抹消したものである。そこでXらは、拘置所に勾留されるのは逃亡・罪証隠滅のおそれがあるという理由によるものであるから、知る権利まで奪いうるものではないとして監獄法31条2項および同施行規則86条1項の違憲を主張し、またこれらの記事を閲読したとしても規律を害するおそれはなかったとして本件抹消処分の無効を主張し、国家賠償を求めて出訴した。¶001