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事実の概要

韓国籍の特別永住者であるX(原告・控訴人・被上告人)は、保健婦(現在は保健師)として1988(昭和63)年にY(東京都―被告・被控訴人・上告人)に採用された。Xは1994(平成6)年および1995(同7)年に管理職選考を受験しようとしたところ日本国籍がないことを理由に受験が認められなかったため、管理職選考受験資格の確認および慰謝料の支払を求めて提訴した。1審(東京地判平成8・5・16判時1566号23頁)は、確認の利益を却下した上で、本件管理職選考は公の意思の形成に参画することによって我が国の統治作用に関わる職への任用を目的とするものであり、外国人にはこのような職への任用が憲法上保障されているとはいえないとして慰謝料の請求を棄却した。控訴審(東京高判平成9・11・26判時1639号30頁)は確認の利益に関する控訴を棄却したが、慰謝料については、地方公務員管理職のうち公権力を行使せず公の意思の形成に参画する蓋然性も少ない職への任用については憲法22条1項、同14条1項の保障が及び、外国籍の職員から管理職選考の受験の機会を奪うことは違法な措置であるとして、Xの請求を一部認容した。Yが上告。¶001