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事実の概要

(1)

公職選挙法(以下「公選法」という)は、歩行が著しく困難な選挙人のため在宅投票制度を定めていたが、悪用が後を絶たないとして廃止され(以下「昭和27年法改正」という)、その後、これを復活する法改正は行われていなかった(以下、本判決に倣い「この廃止行為及び不作為を『本件立法行為』と総称する」)。¶001

歩行が著しく困難な選挙人X(原告・被控訴人・上告人)は、本件立法行為が憲法13条・15条1項および3項・14条1項・44条・47条ならびに93条の規定に違反しており、国会議員による違法な公権力の行使に当たるとして、国家賠償法(以下「国賠法」という)1条1項に基づきY(国―被告・控訴人・被上告人)に損害賠償を求める訴えを提起した。¶002