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事実の概要

フィリピン国籍を有し日本に在住する被告人が、氏名不詳者と共謀の上、クアラルンプール国際空港において覚せい剤を入れたスーツケースを機内預託手荷物として航空機に搭載し、成田国際空港に持ち込んだ。しかし、同空港内の旅具検査場において税関職員に発見されたため、覚せい剤取締法(現覚醒剤取締法)違反、関税法違反で起訴された。覚せい剤営利目的輸入罪(覚せい剤取締法41条2項)の法定刑が、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(以下「裁判員法」という)2条1項1号に該当することから、本件は裁判員裁判対象事件となり、第1審では、懲役9年および罰金400万円の有罪判決となった(千葉地判平成22・1・18刑集65巻8号〔参〕1351頁)。これに対して、被告人は、事実誤認および量刑不当のほか、裁判員裁判が憲法に違反することを新たに理由として控訴したが、第2審判決は控訴を棄却したため(東京高判平成22・6・21前掲刑集〔参〕1363頁)、上告を行った。¶001