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事実の概要

昭和22年4月30日に行われた宮城県牡鹿郡渡波町(昭和34年石巻市に編入)の町会議員選挙において、選挙権のない者の投票、および選挙権のある者の名で第三者が行ったいわゆる代理投票(不正投票の一種であり、公職選挙法48条の定める心身の故障その他の事由により自ら記載することができない選挙人の代理投票とは異なる)が10票あった。原審の仙台高裁(仙台高判昭和23・7・30民集4巻11号〔参〕531頁)は、この10票は無効としつつ、当該選挙は秘密投票によって行われており、何人も「自己又は他の選挙人の投票した候補者の氏名を陳述する義務はないのであるから」、無効投票であったとしても投票先を明らかにすることは「選挙の争訟手続上調査すべきものでない」として無効投票が誰に対して行われたかを明らかにせず、各当選者の得票数から10票ずつ差し引きその残りの票を次点候補者の得票数と比較し、次点者よりも得票数が少なくなった3人の当選を無効とした。これに対し、当選を無効とされた3人のうちの1人が原審判決を不服として上告し、不適法な投票がどの候補者に対して行われたかを審理確定しその投票を当該候補者の得票から差し引いて当選人を決定すべきであると主張した。¶001