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有斐閣法律用語辞典第5版
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事実の概要
被告人は、商品先物取引によって得た利益を架空名義で預金するなどして所得を秘匿したうえ、虚偽の所得税確定申告書を提出し、所得税2億1700万円余(控訴審によって過少申告の一部は所得隠匿行為ではなく計算上の過誤であるとして1億7400万円余に減額)を不正に免れた(逋脱犯、いわゆる脱税)として起訴された。¶001
第一審(神戸地判昭和56・10・12刑集38巻5号〔参〕2050頁)、控訴審(大阪高判昭和57・12・16判時1094号150頁)ともに有罪。被告人は、憲法38条1項の保障は犯則調査手続にも及び、かつ同条項は供述拒否権の実質的保障を図るためにその告知をも義務づけているものと解すべきであるから、供述拒否権を告知せずに作成された質問顚末書は違法収集証拠であるにもかかわらず、この点を看過した控訴審判決は憲法38条1項の解釈を誤ったものである旨主張して上告。¶002
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櫻井智章「判批」憲法判例百選Ⅱ〔第8版〕(別冊ジュリスト274号)254頁(YOL-B0274254)