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事実の概要

A(JASRAC―被告参加人・上告参加人)は、音楽著作権管理事業を行う事業者である。¶001

音楽著作権管理事業に係る市場は管理委託に関するものと利用許諾に関するものとに大別されるところ、後者の市場における管理楽曲の利用には放送事業者による管理楽曲の放送利用に係る利用許諾に関するものが含まれる(以下後者の市場のうち、放送利用に係る利用許諾に関するものを「本件市場」という)。¶002

Aは放送事業者向けの利用許諾において、管理楽曲の全てを包括的に許諾するとともに、その使用料の徴収において、各放送事業者の前年度の事業収入の一定率による金額または所定の金額を徴収する包括徴収の方式(以下「本件包括徴収」という)と1曲1回ごとの単位使用料に利用数を乗じた金額を徴収する個別徴収の方式のどちらかによることとしている。しかし、個別徴収方式によると放送事業者の放送使用料の総額が包括徴収による場合に比して著しく多額になる。そのため、ほとんど全ての放送事業者は、Aとの間で年間の包括許諾および包括徴収による利用許諾契約を締結している(以下、Aがほとんど全ての放送事業者との間で本件包括徴収による利用許諾契約を締結しこれに基づく放送使用料の徴収をする行為を「本件行為」という)。¶003