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事実の概要

Aは、損害保険会社Y社(被告・控訴人・被上告人)との間で傷害保険契約(以下、本件契約)を締結した。同契約約款1条には保険事故を「被保険者……が急激かつ偶然な外来の事故……によってその身体に被った傷害」とあり、それに対して死亡保険金等を支払うものとされていたほか、3条には「被保険者の脳疾患、疾病または心神喪失」などによって生じた傷害は保険金免責事由と定められていた。¶001

Aは、抑うつ症等の治療のため、副作用として悪心・嘔吐が生じ、かつアルコールによってそれが増強される治療薬を服用していた。Aは、食事・酒を飲食後に同治療薬を服用し、うたた寝をした。深夜に起床したAは、梅酒ロックに口をつけて一口飲もうとした途端に、口腔内に嘔吐し、その嘔吐物を誤嚥し、「うっ」といって倒れて意識不明に陥った。Aは、救急車で病院に搬入されたが、病院到着前には死亡した。¶002