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事実の概要

X(原告)の母訴外Aは、昭和54年4月3日、Y保険会社(被告)との間で、被保険者をA、死亡の場合の保険金額を1000万円、保険金受取人をAの法定相続人とする保険契約を締結した。Aは昭和58年に死亡し、保険金請求権発生時のAの法定相続人は、X(A養子)、訴外B(A実子)、訴外C(A実子・離婚後父が養育)の3名であった。Xは保険金を請求したが、Yは、①被保険者死亡を知ったときは遅滞なくYに通知するとともに、了知した日から2か月以内に保険金支払請求書、被保険者と死亡保険金受取人との戸籍謄本、死亡保険金受取人の印鑑証明書、保険証券等の書類を会社に提出すること、②保険金受取人が複数である場合には、代表者1人を定めてその代表者のみが保険金を請求できること(「保険金受取人が2人以上あるときは、……代表者1人を定めて下さい。この場合、その代表者は、……他の……保険金受取人を代理するものとします」)が約款31条1項(以下「1項規定」)に定められていること、③保険会社はだれが真実の受取人かや、特に受取人が複数の場合にはその権利の割合がどうなっているかを容易に判定できず、正当な受取人との間に無用の紛争を生じたり、調査のため支払が遅延したりすることがあり、当該規定はこれを避けるためのものであることを指摘し、Xが約款の規定に従った請求の手続をしないことを理由に支払を拒んだ。¶001