FONT SIZE
S
M
L

事実の概要

Xら(原告・控訴人)は、Y(浜松市―被告・被控訴人)を保険者とする国民健康保険(以下「国保」)の被保険者である。Yの国保では、①賦課総額を決定し、②これを所得割額、資産割額(以上「応能割」)、被保険者均等割額、世帯別平等割額(以上「応益割」)の4つに区分し、各区分の保険料率を決定する。③被保険者の保険料は、各人の市民税所得割額および固定資産税額に②の保険料率を乗じて得た所得割額および資産割額と均等割額および平等割額の合計額となる。当該制度のもとでは、保険料率の決定は毎年9月頃となり、保険料額確定までの間は、前年度の保険料額を基礎にした保険料を徴収し、確定後に過不足を調整する仕組みを採用していた(仮算定制度)。Yにおいては昭和43年1月から世帯員に対し7割の保険給付を実施するなど、昭和43年度の支出の大幅増加に対応するため、Y国保条例を改正し(本件改正条例)、同年9月30日に公布した。当該改正は、上記②の応能割比率を50から60に高め、最高限度額を5万円から6万円に引き上げるものであった。Yは、本件改正条例に基づき、同年11月1日付けでXらに対し昭和43年度国保料の賦課処分をしたが、Xらは、本件改正条例が年度当初に遡って適用されることは行政法規不遡及の原則および租税法律主義に反し違憲ないし違法であるとして、本件処分の取消しを求めた。¶001