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事実の概要
X(当時19歳。原告・被控訴人)は、シンナー吸引による幻覚に支配された状態で、登校途中の女子高校生を刺して重症を負わせた後、幼稚園の送迎バスを待っていた母子らを襲い、幼女(当時5歳)を殺害し、母親にも重傷を負わせた。このいわゆる「堺通り魔殺人事件」(1998年1月)について、新潮社が発行する月刊誌「新潮45」(1998年3月号)に、実名、顔写真等によりX本人であることが特定される内容の「ルポルタージュ『幼稚園児』虐殺犯人の起臥」と題する記事(髙山文彦編著『少年犯罪実名報道(文春新書)』[2002]68頁以下。ただし、仮名)が掲載されたため、Xがプライバシー権、氏名肖像権、名誉権等の人格権ないし実名で報道されない権利が侵害されたとして当該記事の執筆者、雑誌の編集長および発行所(いずれも被告・控訴人)に対し、不法行為による損害賠償と謝罪広告を求めた。¶001