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事実の概要
本決定は、昭和60年7月に埼玉県八潮市および草加市で起きた女子中学生強姦殺人事件(いわゆる「草加事件」)において、いずれも少年院送致の保護処分決定を受けた申立人5人が、殺人、強姦および強制わいせつの非行事実が存在しないことを理由に、保護処分の取消しを申し立てたのに対して、浦和地決平成2・6・28が申立てを却下したため、さらに抗告の申立てがなされたという事案に対する抗告審決定である。申立人5人のうち2人については、申立て却下決定の段階ですでに保護処分の執行が終了していたため、保護処分終了後の取消しの可否が問題となった(本論点については、本書90事件参照)。一方、残りの3人については、保護処分は継続中であったが、草加事件に係る殺人、強姦の非行事実が不存在であっても、その他に窃盗の非行事実が存在していたため、非行事実の一部が存在しない場合に保護処分を取り消すことができるか、取り消すことができるとしていかなる場合に可能なのかが問題となった。¶001