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事実の概要

(1)

光ファイバを用いる家庭向けデータ通信サービスであるFTTHサービス(以下「本件サービス」)の提供には、データのパケットを送受して通信を行うためにサービス提供事業者の装置と利用者宅内の装置との間に加入者光回線設備が要る。この設備は、①局舎内のOSUと分岐装置、1つの当該分岐装置から4分岐する光ファイバ(主端末回線)および各主端末回線の末端にある電柱上の分岐装置、②電柱上の当該分岐装置から最大8分岐する光ファイバ(分岐端末回線)とそれぞれの分岐端末回線の末端にある利用者宅内の回線終端装置からなる。事業者は自ら当該設備を敷設するか、または他事業者が敷設したこれに接続して本件サービスを提供する。電気通信事業法上、被告らY(NTT東西)の当該設備は第一種指定電気通信設備に指定され、Yは当該設備への接続料・接続条件等につき接続約款(以下「本件接続約款」)を定め、総務大臣の認可を受けた。本件接続約款には、接続事業者に①と②を専用させる方式と、①のうち局舎内のOSUと分岐装置は当該事業者が自前で用意して残余の①と②を専用させる方式とがあった。いずれの方式も、接続事業者とYでの①と②の設備共用は認めず、当該事業者の利用者に係るパケットとYのそれが混在して流れることを想定していなかった。このため、接続事業者が1分岐端末回線単位での接続を希望する場合でも、当該1回線に係る接続料に加えてOSU1台分および主端末回線1回線分等に係る接続料を支払わなければならず、「複数の事業者でOSU及び主端末回線を共用することを前提とした、上記の接続料より割安な接続料」はなかった。¶001