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事実の概要
(1)
被審人Y(第一興商)は業務用カラオケ機器を販売または賃貸するとともに、カラオケソフトを制作して配信する有力な事業者である。業務用カラオケ機器にはパッケージ系カラオケ機器と通信カラオケ機器があるが、出荷台数および稼働台数の大部分を後者が占めている。通信カラオケ機器においては、作詞者または作曲者とレコード制作会社との間の「専属契約」と呼ばれる著作物の使用許諾に関する契約に基づいて、レコード制作会社が作詞者または作曲者からその作品を録音等する権利を独占的に付与された歌詞・楽曲(以下「楽曲」)のうち、著作権法の施行(昭和46年1月1日)前に国内において販売された商業用レコードに録音された「管理楽曲」が重要な意味を持っている。通信カラオケ事業者が管理楽曲を使用してカラオケソフトを制作し、通信カラオケ機器に搭載して使用する場合、日本音楽著作権協会(「JASRAC」)から楽曲の利用許諾を受ける必要があるほか、当該管理楽曲について作詞者または作曲者との間で専属契約を締結しているレコード制作会社からも個別にその使用の承諾を得ることが必要であると通信カラオケ事業者および卸売業者は認識しており、実際にも、通信カラオケ事業者はレコード制作会社から管理楽曲の使用承諾を得ている。¶001