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事実の概要

本件は、いわゆる着うた提供事業における原盤権(著作権法96条~97条の3に規定する権利に含まれる)の利用許諾の拒絶に関するものである。着うた提供事業とは、音楽用CD発売用等に製作された原盤を使用して、原盤に録音された歌声等の楽曲(音源)の一部を携帯電話の着信音(着うた)として設定できるように配信する事業である。Y(公取委―被告)は、原告S社、A社、V社およびU社(原告ら4社)と訴外T社の5社が、着うた提供事業に関し、5社の共同出資により運営されるL社に着うた配信業務を業務委託する一方、共同して、他の着うた提供業者に対してはその事業のために必要な楽曲の原盤権の利用許諾を拒絶している行為が不公正な取引方法の旧一般指定(昭和57年)1項1号に該当し、独禁法19条に違反するとして、平成17年3月24日に5社に対し勧告を行った。同勧告を、T社は応諾し、これと同趣旨の審決(勧告審決平成17・4・26審決集52巻348頁)を受けたが、他方、原告ら4社は応諾しなかったため、審判手続が行われた。そして、Yが、5社の行為が旧一般指定(昭和57年)1項1号に該当する旨の審決(審判審決平成20・7・24審決集55巻294頁。以下「本件審決」という)を下したところ、原告ら4社は同審決の取消しを求めて出訴した。¶001