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事実の概要

(1)

X(原告)は、銅張積層板の製造販売業を営む者である。同業7社と共に合成樹脂工業協会に加入し、その品目別部会の1つである積層板部会(以下、「部会」という)に所属している。¶001

本件における銅張積層板(以下、「本件商品」という)は、主としてテレビ、ビデオテープレコーダー等の民生用機器のプリント配線板の基材として使用されている。昭和62年当時、Xおよび同業7社(以下、「8社」という)における本件商品の国内向け供給量の合計は、日本での本件商品の総供給量のほとんどすべてを占めていた。X以外の大手3社が約70%のシェアを占め、これらの動向が当該業界に大きく影響を与える状況にあった。本件商品は、量産品で製品差別化の程度が小さいため製造販売業者間の価格競争が激しく、最終需要者である家電製品等のセットメーカーの力が強かった。円高による輸出不振に陥っていたセットメーカーがコストダウンを図ったため、本件商品の販売価格は昭和61年初めころから下落傾向にあった。同年秋ころからは、積層板の原材料価格が上昇傾向にあったため、8社とも本件商品の販売価格の下落防止のみならず引上げを強く必要とする状況にあった。¶002