一定の取引分野、競争の実質的制限（1）
—多摩談合（新井組）事件
—最一小判平成24・2・20

事実の概要

（1）

①　東京新都市建設公社（「公社」）は、東京都多摩地区において公共下水道の建設等の都市基盤整備事業を行う財団法人である。X₁（新井組）ら4社は、全国で総合的に建設業を営むゼネコンである。¶001

②　公社は、原則として、公共下水道等の土木工事を指名競争入札（「入札」）の方法により発注する。公社は、発注するにあたり、入札参加資格を満たすとして登録を受けた建設業者の中から業者を選んで指名し入札に参加させていた。また、登録を受けた建設業者について、公社は、事業規模や施工技術の高低等に応じ、格付け（A～Eランク）等を付していた。平成9年10月1日から同12年9月27日までの間（「本件対象期間」）、Aランクとされた業者は、違反行為者とされたゼネコン33社（「本件33社」）、違反行為者とされなかったゼネコン47社（「その他47社」）および多摩地区で建設業を営むゼネコンではない業者（「地元業者」）74社である。¶002