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本決定は、刑訴法321条1項1号に規定された「裁判官の面前における供述を録取した書面」(いわゆる「裁判官面前調書」「1号書面」)の範囲について判示したものである。

X(被告人)は、Aから賄賂を収受した等の事実で起訴された。Aは、本件(Xに対する収賄被告事件)第1審公判において証人となり、賄賂の趣旨を否認する証言をしたものの、これに先立って行われたA自身に対する贈賄被告事件の公判においては、被告人として上記趣旨を認める旨の供述をしていたので、本件第1審裁判所は、Aに対する贈賄被告事件の公判調書中Aの被告人としての供述を録取した部分を321条1項1号後段により証拠として採用し、Xに対する有罪の認定に供した(秋田地大館支判昭和55・9・19刑集〔参〕36巻12号1026頁)。X側は、黙秘権の保障がありかつ宣誓および偽証罪の制裁を欠く他事件の被告人の供述を録取した書面は1号書面に含まれない旨主張して上告したが、最高裁は、これを適法な上告理由にあたらないとしたうえ、さらに次のように判示して、上告を棄却した。

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