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本決定は、刑の法定加重事由となる累犯前科の事実を認定するには、適法な証拠調べを経た証拠によることが必要であると判示したものである。
住居侵入、窃盗未遂で起訴された被告人につき、第1審(金沢簡判昭和31・10・20刑集〔参〕12巻2号328頁)は、同事実とともに、被告人の前科を認定し、再犯加重をなしたうえで、懲役刑を言い渡した。これに対し、原審(名古屋高金沢支判昭和32・3・30前掲刑集〔参〕330頁)は、第1審が認定した前科は刑法56条の要件を満たしておらず、累犯の事実に誤認があるとして、第1審判決を破棄したが、それに引き続いて自判するにあたり、新たに照会を行った被告人の前科調書等に基づき、刑法56条の要件を満たす別個の前科の存在を認定したうえで、改めて再犯加重を行った。弁護人は、上記の前科調書等は刑訴法305条による取調べがなされていないから、それを証拠として前科を認定したことは違法であるとして、上告を申し立てた。
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