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緊急逮捕の合憲性には当初から疑念があった。最高裁は、刑訴法施行から7年近くを経て大法廷の全員一致の意見で、次のように述べてその合憲性を肯定した。事案は、森林窃盗の罪(現在の森林197条)で緊急逮捕される際に警察官に抵抗した被告人が、同罪のほか公務執行妨害と傷害の罪で起訴されたというものである。

「刑訴210条は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の〔拘禁刑〕にあたる罪を犯したことを疑うに足る〔十分〕な理由がある場合で、且つ急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができるとし、そしてこの場合捜査官憲は直ちに裁判官の逮捕状を求める手続を為し、若し逮捕状が発せられないときは直ちに被疑者を釈放すべきことを定めている。かような厳格な制約の下に、罪状の重い一定の犯罪のみについて、緊急已むを得ない場合に限り、逮捕後直ちに裁判官の審査を受けて逮捕状の発行を求めることを条件とし、被疑者の逮捕を認めることは、憲法33条規定の趣旨に反するものではない」(条文の文言は令和4年法律67号による改正後のそれに改めた)。

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