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事実の概要

被告人は、平成11年1月から同年4月までの間の建造物侵入罪・単純窃盗罪(刑235条。以下、盗犯2条にいう常習特殊窃盗罪と区別して「単純窃盗罪」という)4件につき、翌12年4月、有罪判決を受け、同年9月に確定した。その後、被告人は、その確定判決中の罪と余罪の関係に立つ平成10年10月から翌11年8月までの間の単純窃盗罪・建造物侵入罪22件につき、改めて起訴された。被告人は、本件各犯行はいずれも常習特殊窃盗罪に該当する行為であり、本件各犯行の一部につき既に確定判決を経ているから、同様の事例で免訴を言い渡した高松高判昭和59・1・24(判時1136号158頁。以下「高松高裁判決」という)に従い免訴を言い渡すべきと主張したが、第1審裁判所(東京地八王子支判平成13・6・28刑集〔参〕57巻9号1018頁)は、これを事実認定の問題ととらえ、本件各犯行と確定判決中の被告人の窃盗の常習性を否定し、有罪判決を言い渡した。原審裁判所(東京高判平成14・3・15高刑集55巻1号10頁)は、訴因制度および検察官の訴追裁量権に照らして、検察官は実体的には常習特殊窃盗罪の一部を構成する複数の窃盗行為を単純窃盗罪で起訴することが許されるとし、被告人の常習性を否定した第1審裁判所の認定判断を否定し、確定判決の一事不再理効は本件に及ばないとして控訴を棄却した。被告人は、原判決および第1審判決は高松高裁判決と相反する判断をしたとして最高裁判所に上告をした。¶001