FONT SIZE
S
M
L

事実の概要

パトカーで警ら中のK巡査らは、甲ホテル付近路上にX(被告人)運転の自動車が停車しており、運転席の右横にいた3、4人の遊び人風の男がXと話しているのを認めたが、パトカーが近付くと、Xの車はすぐ発進右折して甲ホテルの駐車場に入りかけた。このような不審な挙動に加えて、付近は覚醒剤事犯や売春事犯の検挙例が多い場所であったため、K巡査らは、Xの車を駐車場入口付近で停止させ、窓越しに職務質問を開始した。Xの落ち着きのない態度、青白い顔色などから覚醒剤中毒者である疑いもあったので、さらに職務質問を続行することとし、Xを降車させたうえ所持品の提示を求めたが、Xは、「見せる必要はない」と言って、これを拒否した。その後、再度Xに所持品の提示を要求したところ、Xはぶつぶつ言いながらも、右側内ポケットから目薬とちり紙を取り出してK巡査に渡した。K巡査は、さらに、他のポケットを触らせてもらう旨告げて、これに対して何も言わなかったXの上衣とズボンのポケットを外から触ったところ、上衣左側内ポケットに「刃物ではないが何か堅い物」が入っている感じでふくらんでいたので、その提示を要求した。これに対し、Xは黙ったままであったので、K巡査は、「いいかげんに出してくれ」と強く言ったが、Xがそれにも答えないので、「それなら出してみるぞ」と言ったところ、Xは何かぶつぶつ言って不服らしい態度を示していたが、K巡査がXの上衣左側内ポケット内に手を入れて取り出してみると、それは、「ちり紙の包、プラスチックケース入りの注射針1本」であり、「ちり紙の包」をXの面前で開披してみると、「ビニール袋入りの覚せい剤ようの粉末」が入っていた。そして、K巡査が、試薬を用いてその粉末を検査したところ、それが覚醒剤であることが判明したので、Xを覚醒剤不法所持の現行犯人として逮捕し、粉末等を差し押さえた。¶001