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事実の概要
本件は、強盗殺人未遂、爆発物取締罰則違反等、複数の訴因からなるが、再伝聞の判旨に関わる事実関係は現住建造物等放火未遂罪である。その概要は、被告人X、同Yが、他の4名と共謀の上、火焰瓶をV方に投入して放火することを謀議し、YらがV方に赴き、V方の雨戸にめがけて火焰瓶を投げつけ、その一部を燻焼したが、直ちに発見されて消火されたため上記居宅を焼燬するに至らなかったというものである。第1審(浦和地判昭和28・7・18刑集〔参〕11巻1号153頁)は、Xの「私(X)、Yらが実行することになっていたが、私は実行しなかった。翌日の朝、Yから、Yらが4人でV方へ火焰瓶を投げつけてきたという話を聞いた」旨の供述を記載したXの検察官に対する供述調書を挙げて上記の放火未遂事実を認定した。被告人らは、①公判期日における供述中の伝聞について定めた刑訴法324条と異なり、検察官調書中の伝聞供述には、直接、証拠能力を認める規定がないこと、②このような供述に証拠能力を認めるのは、反対尋問権を保障した憲法37条2項に反することを挙げて控訴した。¶001