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事実の概要

被告人は、大型貨物自動車を運転中、自転車に乗った被害者を誤って轢過し死亡させた業務上過失致死罪と、その大型貨物自動車を無免許で運転した道路交通法違反の併合罪で起訴され、第一審(佐賀地判昭和41・11・16刑集〔参〕21巻10号1480頁)で禁錮7月の実刑判決を受けた。¶001

被告人が控訴し、無免許運転について補強証拠がない点につき、理由不備の主張がなされた。控訴審(福岡高判昭和42・5・17前掲刑集〔参〕1481頁)は、「無免許という消極的身分の如きその主観的側面については、被告人の自白だけでこれを認定して差支えないと解するのが相当」とし、被告人は一審公判廷において終始無免許運転であったことを自白しているので、一審判断に瑕疵はないとした(控訴棄却)。これに対し、被告人は憲法38条3項違反等を主張して上告した。¶002