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事実の概要

被告人は、共謀して覚醒剤を譲り受けた疑いで起訴された。公判で、検察官が、被告人の自白調書および不利益供述調書等の証拠調べを求めたところ、被告人は、本件の捜査過程には様々な違法・不当な行為があったと主張して、自白調書等の証拠能力を争った。被告人が指摘する捜査の違法・不当とは、おおむね以下のとおりである。¶001

まず、警察捜査における黙秘権告知および弁護人選任権告知に関連しては、①取調べ中に一度も黙秘権告知がなく、②弁護人選任権についても逮捕当日に「弁護士は必要ないな」「頼まないな」などといわれただけで明確な告知はなく、③接見禁止でないのに母親に手紙を書かせてもらえず、起訴前にようやく電話を許された際も警察官が受話器を取り上げ「お母さん、弁護士頼んでも今回は駄目ですよ」「終るまでに100万以上かかるし、助からないですから」といって電話を切られるなどした。¶002