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本判決は、いわゆる愛媛玉串料訴訟上告審判決と呼ばれるもので、本案では、政教分離原則との関係における公金の支出のあり方が争われたが、ここでは、訴訟法上の問題、すなわち、複数住民による訴訟の性質と上訴取下げに関する問題についてのみ取り上げることとする。
本件訴訟は、地方自治法242条の2第1項4号(平成14年法律4号による地方自治法改正前のもの)に基づく住民訴訟であり(以下、同号に基づく住民訴訟を4号請求という)、複数の住民が県知事およびその補助職員を被告とし、県の被告に対する損害賠償請求権を代位行使し、損害を県に賠償することを求めたものである(平成14年地方自治法改正前の4号請求では、現行の4号請求とは異なり、住民が自治体を代位して、自治体に対して損害を生じさせた職員に対して損害賠償請求をする構造となっていた)。当該訴訟の上告審の手続においては、当初上告を申し立てた住民のうちの一人がその後上告を取り下げたため、本判決は、職権により、この上告取下げの効力につき判断を示すことになった(本判決は、当該論点につき、最判昭和58・4・1民集37巻3号201頁の判断を変更している)。
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