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東京都は、都有地に関する交換契約を結んだが、この土地から有害物質が検出されたことから紛争が生じ、裁判を提起されるに至った。都知事であったY(被告・被控訴人)は、訴訟原告との間で、訴訟原告が問題の土地を都に譲渡し、都が85億円を支払う旨の和解をした。都の住民Xら(原告・控訴人)は、この和解は違法であるとして、Y個人に対し損害賠償を求める住民訴訟を提起した。
本件で問題となったのは、Yが和解を専決処分として行うことができるかどうかということであった。和解は議会の議決事項である(現行法では自治96条12号)ところ、事件当時、都議会は、議会は議決によりその権限に属する事項のうち「軽易な事項」を長の専決処分にすることができると定める地方自治法180条1項により、応訴した訴訟事件の和解を長の専決処分とすると議決していた(以下「本件議決」という)。Yの和解は、本件議決に基づき専決処分として行われたものである。本判決は、本件議決は、都の応訴事件に関する和解のすべてを無制限に知事の専決処分に委ねる点で、「軽易な事項」を超えて専決処分とするものであり、違法であると判断した。
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