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事実の概要

大阪府貝塚市に所在する療養所に入院していたAは、一時退院し、入院前に居住しており退院後に帰住することが予定されていたものの、現にAが居住し得る状態にはなかった社宅の所在するX(大阪市―原告・被控訴人・被上告人)に、住民票を移した。そして、Xが保険者として実施する国民健康保険事業の被保険者資格を取得した旨の届出をした。しかしXは、Aの住所を貝塚市、またはAを扶養していた実父の住所地である大阪府高石町(当時)と認定し、被保険者証を交付しない旨の処分を行った。AがY(大阪府国民健康保険審査会―被告・控訴人・上告人)に審査請求をしたところ、YはAの住所を大阪市と認定してXの処分を取り消し、AをXの行う国民健康保険の被保険者とする旨の裁決を行った。これに対しXが裁決の取消しを求めて出訴した。1審(大阪地判昭和40・10・30行集16巻10号1771頁)・2審(大阪高判昭和46・8・2民集〔参〕28巻4号630頁)とも、Xの出訴権能を認めた上、Aの当時の住所を貝塚市と認定してXの請求を認容した。Yが上告。¶001