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事実の概要

Y(武蔵野市―被告・被控訴人・被上告人)は、市内でマンションの建築が相次ぎ、日照障害等の問題が生じるとともに学校等が不足し行財政を強く圧迫していたことから、昭和46年10月に市議会の全員協議会に諮った上、「武蔵野市宅地開発等に関する指導要綱」を制定した。この指導要綱は1000 m2以上の宅地開発または高さ10 m以上の中高層建築物の建設に適用され、「教育施設負担金」を事業主に負担させることとし、指導要綱に従わない事業主に対して市は上下水道等必要な施設その他の協力を行わないことがある、等としていた。X(原告・控訴人・上告人)は昭和52年5月頃、Y市内の土地に3階建賃貸マンション2棟の建築を計画したが、教育施設負担金1523万2000円を寄付しなければならないことに強い不満を持ち、Yとの事前協議において減免等を懇請したものの断られ、同年11月に納付した。昭和53年9月にXは、教育施設負担金の寄付の意思表示はYの強迫行為によるものであるから取り消すとして、その返還を求めて出訴した。第1審(東京地八王子支判昭和58・2・9判時1078号95頁)は、請求を棄却した。Xは国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求を予備的に追加して控訴したが、控訴審(東京高判昭和63・3・29判時1268号39頁)は主位的請求について第1審判決を維持し、予備的請求についても請求を棄却した。¶001