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事実の概要

X1ら(原告・上告人)は、高知県安芸郡東洋町(被告・被上告人)の選挙管理委員会(以下「処分行政庁」という)に対し、町議会の議員に係る解職請求書を添えてX1らが解職請求代表者である旨の証明書の交付を申請し、証明書の交付を受けた。このときX1は、非常勤の公務員である農業委員会委員であった。¶001

公職選挙法(以下「公選法」という)89条1項本文所定の公務員は、同項ただし書所定の者を除いて在職中に公職の候補者となることはできない。本件の当時、地方自治法施行令(以下「自治令」という)は、地方自治法(以下「自治法」という)85条1項に基づき公選法89条1項を議員の解職の投票に準用するにあたり、「公職の候補者」を「普通地方公共団体の議会の議員の解職請求代表者」と読み替え、かつ、例外的に公職の候補者となることができる公務員に関する同項ただし書(同項2号に関する部分を除く)の準用を除外していた(自治令115条・113条・108条2項・109条。以下、これらのうち、公選法89条1項を準用することにより議員の解職請求代表者の資格を制限している部分を併せて「本件各規定」という)。本件各規定により、農業委員会委員は解職請求代表者となることはできない。¶002