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事実の概要
乳製品等の卸売等を目的とする会社であるXは、Yに対して水飴販売代金等の約62万円余りの支払を求め、訴えを提起した。第一審の口頭弁論期日において以下の内容の裁判上の和解が成立した。すなわち、①YはXに対し上記代金の支払義務があることを認め、内金40万円の支払に代えてXが仮差押えをなしたY所有の苺ジャム150箱を同日限り譲渡すること、その引渡しを翌日Y会社営業所においてなすこと、②XはYに対し当該苺ジャムの引取りと引換えに金5万円を支払うこと、③Yが当該代物弁済の目的である苺ジャムをXに引き渡したときは残額金22万円余りの支払を免除すること、であった。ところが、Xが当該和解に基づき代物弁済物である苺ジャムを引取りに行ったところ、当該苺ジャムは、市場価値のないジャムに代えられていた。そこで、Xは、当該和解は要素の錯誤により無効であるとして、期日指定の申立てをした。第一審裁判所は、和解の無効を認め、審理を続行し、Xの請求を認容した。Yは、控訴したが、控訴棄却となり、上告。Yの上告理由は、和解契約の解釈の誤りほか、民訴法203条(現行267条)の定めにより、和解は実質的確定力を有するので、同一請求をなすことは許されないというものであった。¶001