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事実の概要

内閣総理大臣(第1審被告)は、A電力会社の申請を受けて、愛媛県西宇和郡伊方町に建設予定の原子炉の設置許可処分をした。本件は、伊方町およびその周辺に居住するXら(原告・控訴人・上告人)が、この処分の取消しを求めた事案である。なお、法改正により、控訴審係属中にY(通商産業大臣〔当時〕―被告・被控訴人・被上告人)が訴訟を承継している。本件の中心的な争点は、原子炉施設の安全性に関する内閣総理大臣の判断の適否であるが、その前提をなす法的な問題点として、①周辺住民の原告適格、②原子炉設置許可処分の裁量処分性、③原子炉施設の安全性に関する司法審査のあり方などが争われた。以下では、これらのうち③のみを取り上げる。¶001