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事実の概要

X(原告・被控訴人・上告人)は、訴外Aらが合併してできた映画会社であり、本件建物(以下「甲」という)を活動写真の常設館(映画館)として使用していた。甲について、Y(被告・控訴人・被上告人)名義の所有権保存登記がされていたことから、Xは甲の所有権は自己にあると主張して、登記名義人であるYに対し、所有権保存登記抹消請求の訴えを提起した。¶001

判決理由から推測されるところによれば、Xは、前主であるAとYとの合意により甲の所有権がAに帰属することになったと主張し、それを推認させる事実として、甲の家屋税(固定資産税)を自己(およびA)が負担してきたことを主張したようである。これに対し、Yは、甲の建設当時、AとYとの間で、①甲の建設費用は全てAが弁済する、②甲についてはその朽廃に至るまでAが活動写真の常設館として使用できるが、甲の所有権はYに帰属するものとする、③Aは甲を使用する対価として1か月あたり48円をYに支払う、④甲についてはY名義の保存登記をする、ことを内容とする合意がなされていたと主張し、甲の所有権は自己に帰属するとしてXの請求を争った。¶002