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事実の概要

X(原告・被控訴人・被上告人)は、昭和2年にAから本件山林を買い受け、代金を完済して引渡しを受け、Aおよび昭和5年にAが死亡した後はその相続人Y1(被告)に対し、所有権移転登記手続を求めたが、登記はされないまま長年月が経過した。Y2(被告・控訴人・上告人)は、上記の事実を熟知しながら、恨みを懐いていたXに復讐する意図の下に本件山林の取得を企て、昭和29年秋頃Y1にその売却を懇請した。Y1は、本件山林はAがXに売渡済みのものであるから、一応はY2の申入れを拒絶したものの、強い要求を拒みかね、利欲も手伝い、同年10月、売買契約を締結し、Y2は、150万円位の価格を有していた本件山林を13万円という低廉な価格で買い受けた。Xは、同年11月、本件山林につき処分禁止の仮処分を申請し、その旨の決定を得るとともに、Y1に対し、所有権移転登記手続を求める本件訴えを提起した。なお、同月、本件山林につき、Xの所有権を保全するためY1が相続により所有権を取得した旨の代位登記がされた。¶001