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事実の概要

X(原告・被控訴人・被上告人)所有の甲土地とY(被告・控訴人・上告人)所有の乙土地とは隣接しているところ、YがX所有地を侵犯しているとして、Xが甲乙両地間の境界の確定を求めて訴えを提起した。第一審(東京簡判昭和37・3・8民集〔参〕22巻2号273頁)は、Xの主張を容れて、両土地の境界線は下図のⒶとⒷを結ぶ直線であることを確定した。¶001

これに対してYが控訴し、新たに下図のⒶⒷ㋑㋐の各点を結んだ直線で囲まれた本件土地の所有権を時効取得したと主張した。これに対し控訴審(東京地判昭和40・9・30前掲民集〔参〕275頁)は、境界線につき上記原判決の判断を維持し、時効取得の主張については、「取得時効の成否の問題は所有権の帰属に関する問題で、相隣接する土地の境界の確定とはかかわりのない問題であるから判断を加えない」旨を説示し、控訴を棄却した。これに対して、Yが上告をしたのが本件事案である。¶002