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事実の概要
X(原告・被控訴人=控訴人・上告人)は、Y組合(被告・控訴人=被控訴人・被上告人)に対し、Y所有地上の立木をXに売却する契約が成立したと主張して、X・Y間の立木売買契約存在確認訴訟を提起した。第一審裁判所は、Xの請求を一部認容する判決を下した。この判決に対し、XおよびYが控訴した。控訴審は、X・Y間契約は不成立として一審判決を取り消し、請求を棄却した。X上告。上告理由は多岐にわたるが、本判旨との関係でXは次のような上告理由を述べた。すなわち、当事者ならびに第三者から見て裁判の公正を疑うべき客観的事由がある場合には、それに該当する裁判官は民事訴訟法43条(現民訴規12条)により職務執行を回避すべき義務がある。しかし、控訴審における裁判長裁判官Aは、Yの訴訟代理人Bと一親等の姻族関係(AがBの娘婿)にあるにもかかわらず、その事情をXに明らかにせずに審理を行い、判決を下した。したがって、原判決はXの忌避権を不当に蹂躙し、回避すべき裁判官が関与してなされた違法がある。¶001