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事実の概要

本件は、X(原告・控訴人・上告人)の宗教法人Y宗(被告・被控訴人・被上告人。以下「Y宗」という)に対する請求(以下「第1請求」という)と宗教法人A寺(原告・被控訴人・被上告人。以下「A寺」という)のX(被告・控訴人・上告人)に対する請求(以下「第2請求」という)に関するものである。両請求に共通する事情は、以下のとおりである。¶001

Xは、A寺を包括する宗教法人であるY宗からA寺の住職に任命された。A寺の規則によれば、A寺の代表役員はY宗の宗制によりA寺の住職の職にある者をもって充てることとされていたため、XはA寺の代表役員となり、A寺の所有する不動産その他の物件(境内地、本堂・庫裡、仏像、過去帳、檀徒名簿等。以下、これらを「本件各物件」という)を占有していた。しかし、その後Xは、A寺を不在にし、寺務を怠るなどしたため、檀徒の大多数の信任を失ったことから、Y宗からA寺住職を罷免する処分(以下「住職罷免の処分」という)を受けた。¶002