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事実の概要

1956年8月28日にA(本件不動産の所有者)が死亡し、その相続人7名中長男X1(原告・控訴人・上告人)とAの妻X2(原告)を除く全員(三男Bも含む)が適法に相続放棄の申述をし(同年10月29日)、受理されたが(同年11月20日)、その旨の登記はされなかった。Bの債権者Y1 Y2(被告・被控訴人・被上告人)は、Bを含む7名が本件不動産を共同相続したとして、1964年12月22日付けでBの持分9分の1につき仮差押決定を得て、同25日にBに代位して所有権保存登記をし、Bの持分について仮差押登記をした。そこで、X1 X2は、本件不動産がBの所有ではなくX1 X2の所有であるとして、第三者異議の訴えを提起した。1審(名古屋地判昭和40・7・20民集〔参〕21巻1号26頁)は、相続放棄は民法177条にいう物権の得喪変更に該当するとして、未登記のX1 X2はY1 Y2に対抗できないとした。その後、1965年11月5日に上記の相続放棄の登記がされ、X2は同日持分を放棄し、同10日にその旨の登記を経由した。しかし、2審(名古屋高判昭和41・1・27前掲民集〔参〕32頁)も(仮差押登記の抹消登記手続請求に請求の趣旨が変更)、X1が本件不動産の所有権を取得した事実をY1 Y2に対抗できないとした。X1上告。¶001