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事実の概要
元旭川市長Y1は1979年4月施行の北海道知事選挙に立候補を予定していたところ、雑誌発行者X(原告・控訴人・上告人)が同年2月23日に発行する予定の雑誌『北方ジャーナル』同年4月号(予定発行部数初刷2万5000部)に、Y1に関して「ある権力主義者の誘惑」という記事を掲載することとし、印刷その他の準備を進めていた。同記事によると、北海道知事たる者は聡明で責任感が強く人格が清潔で円満でなければならないが、Y1はその適格要件を備えていないとし、Y1について「噓と、ハッタリと、カンニングの巧みな」少年であったとか、「言葉の魔術者であり、インチキ製品を叩き売っている(政治的な)大道ヤシ」「天性の噓つき」「昼は蝶に、夜は毛虫に変身して赤レンガに棲みたいと啼く その毒気は人々を惑乱させる。今こそ、この化物の正体を……」などという表現で評していた。これを知ったY1は、同年2月16日、札幌地裁に、名誉権の侵害を予防するため、本件雑誌の印刷、製本および頒布の禁止等を求める仮処分の申請をしたのに対し、同日、無審尋でこれを認める仮処分決定がされ、直ちに執行された。¶001